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遷延性意識障害
バイクの運転手にはヘルメットの着用が法律上の義務として求められており、これに違反した場合は反則金を支払わなければなりません。
そのため、バイクの運転手の頭部は、ヘルメットによって一定程度保護されています。
頭部の強打により脳の機能に障害が生じ、遷延性意識障害を患うことがあります
しかしながら、ヘルメットといってもその頑丈さは様々で、その性質、性能も異なります。また、時にはヘルメットの正しい着用方法を守っていない場合もあることから、事故によりバイクの運転手が受ける極めて強い衝撃から頭部を常に十分に守られているわけでは決してありません。
そのため、バイクの運転手が交通事故に遭遇したために頭部を強打することにより強い衝撃を受けた結果、脳の機能に障害が生じてしまうことがあります。このような症状が生じた場合、話すことや動くことができなくなる等の昏睡状態に陥ることがあります。これを遷延性意識障害といいます。
遷延性意識障害と脳死との違い
遷延性意識障害とは,いわゆる「植物状態」のことをいいます。
日本脳神経外科学会の定義によれば、
- 自力で移動できない
- 自力で食べることができない
- 大小便を失禁している
- 目はものを追うが認識はできない
- 簡単な命令には応ずることもあるがそれ以上の意思の疎通ができない
- 声は出すが意味のある発語はできない
という状態が3ヵ月以上継続している場合のことをいいます。
このような遷延性意識障害と脳死は異なります。遷延性意識障害は、呼吸や循環等の機能は保持されていますので、適切な治療や介護を行うことにより、生命を維持することができます。また、数少ない例ではありますが、言語を発することができるまでに回復した事例も報告されています。
一方、「脳死」は、「脳幹」が損傷し回復不可能な状態となったために、呼吸や循環等の機能が損傷し、その結果生命維持装置がないと死亡してしまう状態を言います。したがって、自立的に生命活動を維持できるかどうかが脳死との相違点です。
遷延性意識障害と、その介護の負担の大きさ
もっとも、遷延性意識障害を患った場合、その回復可能性は低く、また意識を回復したとしても、交通事故前の状態に戻るケースは極めて少ないことから被害者の家族が介護を行う負担が生涯終わることはありません。
遷延性意識障害と診断された場合、被害者は自立的な活動を行うことが不可能になる以上、家族は基本的には24時間付きっきりの介護が必要となります。この症状は本人に意識がないため、本人の身の回りの世話、つまりは食事や排泄など本来であれば自立してできることをすべて介護者が行なうこととなります。
したがって、被害者が遷延性意識障害になった場合、家族は被害者の介護を極めて長期間行い続けなければなりません。また、誤嚥や身体の免疫力が低下することによる病死にも注意をしなければならないために、まさしく家族は365日、24時間常に注意をしなければなりません。このような被害者の介護による家族の負担は想像を絶するものがあります。
介護料金や事故後の生活のために、適切な賠償金の獲得が大切です
このような場合、介護を家族のみで行うことには限界があり、病院や施設を利用する場合には、介護料金が発生します。また、介護ベットや自宅のリフォームも欠くことが出来ない以上、莫大な費用がかかります。
また、家族の大黒柱が遷延性意識障害になった場合、仕事を継続することは極めて難しく、家族は突然収入がなくなります。このため、家族が生活を続けることさえできなくなります。
そのため、遷延性意識障害を患った場合、被害者は生きるための介護費用が高額になるのみならず、家族が生活を継続する緊急性とともに介護の極めて重い負担を考えれば、適切な賠償金を獲得するのみならず、早期の解決も極めて重要になります。
したがって、被害者が遷延性意識障害を患った場合には、高い賠償金を獲得することはもちろん、早期に賠償金を獲得し、収入を失った家族が生計を維持することも重要となります。
「バイク事故と遷延性意識障害」の問題は当事務所にお任せください
このように、様々な諸問題を抱える遷延性意識障害は、当事務所では特に力を入れている後遺障害です。家族がバイクを運転中に遷延性意識障害となってしまった御家族の方々は、今後の生活も含め、ぜひ一度ご相談にいらして下さい。