はじめに
交通事故に限らず、訴訟になった件は、何としてもお客様に有利になるようにしたいものです。
もちろん、有利になりたいという願望を持つだけではどうにもなりません。有利となる根拠を探し出さなければなりません。さらに、有利な結論を取るんだという決意も必要だと思います。
症状固定後の将来治療費を認めさせる
たとえば、症状固定後の治療費は損害として認められないことが一般ですが、改善が期待できなくても、保存的治療として必要がある場合には、損害として認められます。そこで、カルテに基づく主張をするほか、医師を往訪し、カルテに書いていない事情を聴取して将来治療費を認めさせることにつなげるなどしています。
あるときには、症状固定と診断された後も疼痛の継続していた被害者が症状の改善の可能性があるのではないかと考えて他院を受診したという件につき、その他院を往訪して、たしかに症状固定と診断された後の治療に効果はなかったものの、他院受診時には症状が改善する可能性があると考えて治療を行ったということを聴取することができ、将来治療費を認めさせることにつなげることができました。
また、訴訟手続中、和解の話になり、遅延損害金や弁護士費用をどの程度損害額として乗せるかという協議を行う場面に至ることも多くあります。
事情を聞きだし、良い解決へ導く
当然、保険会社側はなるべく少なくしようとしてきます。そうしたときは、被害者がこれまでどんなに苦しい思いをしてきたか、それなのに遅延損害金がそれだけではとても被害者が怒り出してしまうことが想像できないのか、遅延損害金について再検討を求めるなどと言って、増額した金額で和解しようと試みます。この方法をとって、増額に至らなかった事例はまだありません。
当然、訴訟の場ですから、理屈が必要なのはもちろんです。そのほかに、有利な結論を取るんだという決意に加え、具体的な事実が必要になると感じています。
被害者の方がどういう事情がそれに当たるかを御存じではないこともありますので、そういった事情を聞き出して、良い解決に導きたいと考えております。