2021年7月7日
実際にあった交通事故事例
実際の交通事故事例
先日、学生時代の友人が交通事故に遭ったとの連絡が入り、その友人の法律相談に乗っていました。
友人から聞いた話では、平成28年11月頃にあった事故で、前方に停車していた車に続いて減速して停止し、追い越したほうがいいか様子を伺っていたところ、前方に停車していた車が突然バックしてきて、逆突で事故に遭ったようでした。そして相談当時、修理費等の車両の損害でもめていたようです。
こちらが停車中の事故ですから何をもめることがあるのか聞いたところ、保険会社の誘導に乗って、なぜか事故態様について、友人が前方の車を追い越そうとして事故に遭った(=友人から前方の車に追突した)という方向で話が進んでしまっている、とのことでした。おそらく「追い越したほうがいいか様子を伺っていた」が「追い越そうと思っていた」、さらには「追い越そうと動き始めていた」と誘導されていったのだろうと思います。
本来の事故態様であれば友人の過失はゼロですが、友人から前方の車に追突したのであれば友人の過失は100になり、修理費は全て自己負担しなければなりません。長年の友人であり、非常に温厚な友人なのですが、さすがにこのときばかりは厳しく注意せざるを得ませんでした。
加害者加入の保険会社は、被害者の味方ではありません
加害者加入の保険会社は、被害者の味方ではありません。
被害者の味方であるかのように装って優しく接してきますが、あくまでも対立当事者であり、柔らかい雰囲気の中で、できる限り保険会社が支払う賠償金が低くなるように、色々な情報を聴取してきます。そして、ひとたび保険会社側に有利な情報を入手すると、手のひらを返したかのように、そこを徹底的に攻撃してきます。保険会社側に有利な情報を入手できなければ、柔らかい雰囲気のまま、できる限り支払うべき賠償金額を低く設定してきます。
もちろん、全ての保険会社、全ての担当者がそうだとは申し上げませんが、一部にそういう保険会社、そういう担当者がいるというのは、私の長年の経験から紛れもない事実として認識しています。
その友人の件は、結局友人の過失が1割、相手方の過失が9割で車の修理費について示談がまとまったようです。
友人は弁護士費用特約に入っていなかったため、私が介入することはできなかったのですが、友人が加入していた保険会社の担当者が頑張って、友人の過失を1割まで抑えたようです。しかし、友人の車の修理費の1割は減額され、相手の車の修理費の1割を友人は負担しなければならないため、9:1とはいえ、10:0に比べると経済的損失は大きいです(友人が加入していた車両保険を使えば、友人の車の修理費の1割と相手の車の修理費の1割は保険金で賄われますが、毎月の保険料が上がってしまいます)。
「保険会社任せにしてはいけない」
今回、相手の保険会社任せにすることがいかに危険であるか知っていただく良い事例がありましたので、友人の承諾を得て、このように御紹介させていただきました。その友人は今は整形外科に通院中ですので、また機会を改めて人身の損害(慰謝料、後遺障害逸失利益等)についてもご紹介をさせていただくかもしれませんが、まずは「保険会社任せにしてはいけない」ということをしっかり認識していただければと思います。