2021年7月7日
交通事故でむち打ちになった方のために
「交通事故でむち打ちになった人」の多さ
この記事をお読みの方の中で交通事故に遭った方はそう多くはないと思います。交通事故に遭った方の中でも、骨折以上の傷害を負った方はより一層少ないのではないでしょうか。多くの方は、交通事故に遭ったとしても、いわゆる「むち打ち」症にとどまっているはずです。
実際に警視庁の統計から計算してみると、交通事故によって軽傷を負った人のうち頸部や腰部を受傷した人を「交通事故でむち打ちになった人」と定義すると、その割合は全体の中で約63%にも上ります。
「むち打ち」症の後遺障害等級の認定申請の難しさ
この「むち打ち」症というのは非常に厄介で、頸部が過屈曲過伸展を引き起こした際に頸部の筋肉を網羅する微細な毛細血管を損傷することが多く、その結果、疼痛・頭痛・めまい・耳鳴り・吐き気・目のかすみ等の多様な症状を発症し、労働能力にも様々な支障を来すことが多いのですが、それにもかかわらず、その病因も症状の内容も、他覚的な検査所見には現れないことが多いのです。
そのため、交通事故被害者は「交通事故によって受傷し様々な症状が残存した」ことを立証しないといけないのですが、「むち打ち」症の場合には、この立証に難儀するのです。
その最初のハードルが、後遺障害等級の認定申請です。 「むち打ち」症の場合、想定される後遺障害等級は12級13号か14級9号ですが、12級13号は画像所見がある場合に想定される等級ですので、本稿では14級9号に限定してお話しします。
「むち打ち」症が14級9号に認定されるか否かの一番の基準は「『交通事故によって受傷し様々な症状が残存した』と信じることができるかどうか」に尽きると考えています。
そのため、例えば、事故に遭ってから最初に病院に行くまでの間に3日以上の日が空いてしまったり、事故日からだいぶ経過してから治療日数が増えていたり、車両の損傷が殆ど無かったり、年齢が極端に若かったり年配だったり、もともと病気を抱えていたり、治療期間中に突然新たな症状が出てきたり、といった方については、「『交通事故によって受傷し様々な症状が残存した』と信じることができない」ため後遺障害等級は非該当という結論が下ることが多いです。
もっとも、その審査の過程や基準はブラックボックスであり、ここで申し上げていることは経験則に基づくものですので、ここで申し上げているとおりにならないこともあります。
しかし、当事務所が、多数の事例から集積された経験則に基づいて後遺障害等級の認定申請を行ったところ、加害者側の保険会社任せにしていた場合よりも大幅に等級認定率が上がっていることも確かです。
当事務所へ是非ご相談ください
後遺障害等級が認定されないと、痛いのに満足な補償を得ることができない、という事態になってしまいます。
我々は結果をお約束することはできないですが、多数の事例から得た経験則をもとに、「本当に痛いならこうしたほうがいい」というアドバイスをすることができます。
今月、所内の勉強会で、複数の事例をもとにメンバー間で情報の共有や意見交換を行い、どのような事例であれば「交通事故によって受傷し様々な症状が残存した」と信じてもらえるのかを議論しました。
その結果、様々な経験則が適宜集積されていっています。
今後も、多数の事例を集積して研鑽に励み、一人でも多くの交通事故被害者を救済していきます。