2021年7月7日
2021年7月8日
交通事故の過失割合について
今回のコラムを担当致します、弁護士の永渕です。当事務所において、私は交通事故チームに所属し、交通事故案件を多く担当しています。
今回は、交通事故の法律相談の中で、誤解されている方が多いのではないかと思われる過失割合の問題を取り上げたいと思います。
過失割合についての誤解
交通事故において、どちらの当事者が事故に対して負う責任が大きいかという過失割合が問題になる場合、「どちらの車も動いているから100対0にはならない。」「駐車中の車にぶつかったのだから、駐車中の車には責任が無く、ぶつかった車が100%の責任を負う。」と言われることがあります。保険会社の職員の方からもこのような説明をされることがあります。
しかし、これは間違いです。動いている車同士の事故であっても、一方の車に事故を回避できる可能性がなければ、過失割合が100対0になることはあります。
例えば、優先道路と非優先道路が交わる交差点において、非優先道路から優先道路に右折して出てくる車と、優先道路を走行していた自動車がぶつかった場合、右折車が徐行をしていなかったときは、過失割合は、右折車100、優先道路走行車が0となります。
駐車中の車に追突してしまった場合の過失割合
また、駐車中の車に追突してしまった場合でも、駐車中の車に責任なしとはならない場合があります。
夜間、駐車禁止のやや明るい道路に駐車していた大型自動車に原動機付自転車が追突したという事案で、駐車していた大型自動車が35%、原動機付自転車が65%との過失割合を認定した裁判例もあります。
駐車中の車両との衝突事故であっても、事故現場の状況(高速道路か一般道路か、道路の幅員、明るさ、天候、交通状況、時間帯など)、駐車車両の事情(違法駐車か否か、駐車時間、駐車車両の大きさ、ハザードランプやテールランプを点滅させていたかなど)、衝突車両の事情(衝突車両の車種、速度、運転者の運転状況、前方注視義務違反の程度など)を考慮して、駐車車両と衝突車両の過失割合が認定されますので、駐車車両であっても過失割合が0になるとは限らないのです。
駐車中の車両への追突事故の場合、裁判例においては、駐車車両の過失割合が0%から20%の範囲で認定されることが多いようです。
過失割合は、賠償金額を大きく左右する重要な要素です
交通事故の損害賠償の交渉をするうえで、過失割合は、賠償金額を大きく左右する重要な要素になります。加害者側の主張する過失割合に納得ができない場合、是非一度当事務所にご相談ください。