2021年7月7日
2021年7月8日
交通事故における労災治療
こんばんは。鹿児島の弁護士の黒﨑です。今日は少し難しい話をさせて頂きます。以下の話に該当する人で、よく分からないと思われた方は、一度当事務所にお越しください。
通勤中や業務中の交通事故であれば労災保険を使うことができます。労災の認定を受けて、労災から療養給付や休業給付を受け取ります。
交通事故と比べて労災は面倒なことも多いのですが、メリットもあります。そのうちのひとつに、「費目拘束性」というのがあります。
例えば、過失割合が加害者:被害者=6:4の事故で、治療費が500万円を要した場合、任意保険から事前に治療費を払ってもらうのと労災保険から事前に治療費を払ってもらうのとでは大きな違いがあります。
すなわち、最終的に損害として認められる治療費は、過失相殺して500万円×0.6=300万円となりますが、病院は過失相殺なんて関係なく、500万円を請求して500万円が支払われなければ治療を行いたくても行えません。
この500万円を任意保険から払ってもらうとなると、治療費として妥当な損害額はあくまで300万円ですので、差額の200万円は慰謝料や消極損害から差し引くなどして被害者が負担しなければいけません。
一方、この500万円を労災保険から払ってもらうとなった場合、治療費として妥当な損害額はあくまで300万円であるものの、差額の200万円を慰謝料や消極損害から差し引くことは認められないとの判例があります。よって、被害者が負担をすることは避けられます。
この違いは大変大きいです。交通事故に遭ったとき、どの保険を使ったらいいかというのは難しい判断を要します。判断に迷われた場合には、是非当事務所に一度ご連絡ください。