2024年10月29日
2024年10月29日
目次
1.交通事故の慰謝料はいつ支払われる?
交通事故に遭われた方にとって最も気になるのは、あなたがいつ賠償金の支払いを得られるかという点ではないでしょうか。
交通事故にあった場合、治療費は相手方保険会社が支払ってくれることが大半ですが、通院のための交通費がかさんだり、仕事を休んだ関係で収入が減ったりするなどしがちですから、早期の賠償を受けることが重要なポイントとなります。
交通事故の慰謝料は、相手方又は相手方保険会社との示談・和解の合意を締結したのちに支払われます。それでは、この流れと慰謝料が支払われるまでの期間を早める方法についてもレクチャーいたします。
1-1. 慰謝料がもらえるまでの基本的な流れ
慰謝料は、相手方又は相手方保険会社との示談成立後、免責証書という書面を取り交わしてから1~2週間程度で支払われることが一般的です。それでは、示談成立までの流れはどのようなものとなるのでしょうか。
一般的に、交通事故後、以下のような流れで示談が成立します。
① 交通事故発生
② 通院等の治療が続く
(③ 後遺障害が残った場合には、医師による症状固定の判断)
(④ 後遺障害等級認定のための手続)
⑤ 治療が終わり、後遺障害の有無が認定されたのちに、示談交渉開始
⑥ 示談成立
交通事故によって負った怪我の程度次第では、通院等の治療が半年から数年間かかる場合もあります。また、後遺障害等級認定のための手続にも、短くとも数か月の時間を要します。
このように、そもそも交通事故後、治療が続いたり、後遺障害等級認定に時間がかかったりすることで慰謝料がもらえるまでの期間が空いてしまうのです。
2.示談成立前でも慰謝料を受け取る方法
さて、それでは、示談成立前でも慰謝料を受け取ることはできるのでしょうか?
以下のとおりの手段があります。
2-1. 加害者の自賠責保険から慰謝料の支払いを受ける
まずは、加害者の自賠責保険から慰謝料の支払いを受けることが考えられます。
自賠責保険とは、強制加入保険とされるもので、自動車を所有する者全てに加入が義務付けられます。自賠責保険に対し、被害者請求(16条請求ともいいます。)をすることで、最終的な示談前であっても、自賠責保険基準の慰謝料の一部の支払いを受けることができます。もっとも、自賠責保険には限度額がありますので(傷害分は120万円)、すでに治療費等で限度額の120万円を超えてしまっている場合は、自賠責保険に請求しても支払を受けることができません。
自賠責保険に対する被害者請求のためには、多くの書類を要するので、弁護士による助力を得るべきであろうと考えられます。
2-2. 加害者の任意保険から慰謝料の支払いを受ける
次に、加害者の任意保険から慰謝料の先払いを受ける方法が考えられます。但し、任意保険会社は、治療費、休業損害、通院交通費など、金額が明確に定まっているものについては先払いをすることが多いですが、慰謝料の先払いに応じることは多くありません。これは、慰謝料が入通院期間によって定まるため、治療中の時点では金額が未定となるためです。
また、事故態様から、過失割合に争いがある場合にも、加害者側の任意保険会社は、先払いに応じない可能性が高まります。これも、最終的に支払いを受ける金額が分からないことから、相手方任意保険会社が、払いすぎになることを嫌がるためです。
2-3. 自身の保険から慰謝料同等の保険金を受け取る
最後に、ご自身の加入する保険から慰謝料同等の保険金を受け取ることが考えられます。ご自身の加入する保険に、人身傷害特約などの特約があれば、慰謝料同等の保険金やお見舞金の支払いを受けることができる場合があります。
交通事故発生後、この点については早期にご自身の保険会社に確認をするべきでしょう。
3.交通事故の慰謝料の支払いが遅くなる場合
ところで、そもそもどうして交通事故の慰謝料の支払いが遅くなってしまうのでしょうか。大きな原因は、以下の3点にあります。
3-1. 治療が長引く場合
まず、治療が長引く場合です。上述したとおり、慰謝料は通常、治療が終了して示談・和解がなされ、合意書を作成したのちに支払われます。
しかしながら、例えば手術を要するとか、リハビリに期間を要するとか、治療終了までの期間が必要な場合には、そもそも合意書を結ぶことができないので、その間、慰謝料の支払いを受けることができなくなります。
また、同様に、後遺障害が残った場合にも、治療自体は終了したとしても、後遺障害等級認定手続に時間を要するので、示談・和解が後ろ倒しになってしまいます。この場合も、慰謝料の支払いが遅れることとなります。
3-2. 示談交渉が難航する場合
次に、示談交渉が難航する場合です。
特に、交通事故における双方の過失割合に争いがある場合には、示談交渉が難航し、早い段階での示談・合意ができないときがあります。このような場合には、最終的に過失割合についての合意がとれず、裁判手続に進まなければならない場合もあります。
裁判に至った場合、民事訴訟は平均的に、解決まで1年強の時間を要しますから、この間、慰謝料の支払いを受けることができなくなってしまいます。
過失割合に争いがある場合が10%変わるだけでも支払いを受けることができる金額が数十万から数百万単位で変動することもありますから、この点は、交渉でも訴訟でもシビアな争いとなります。
3-3. 加害者の賠償能力が不足している場合
最後に、加害者の賠償能力が不足している場合です。
加害者が任意保険に加入しているのであれば、通常、任意保険会社が賠償をしますから、加害者本人の賠償能力が問題となることはありません。しかしながら、加害者が任意保険に加入していない場合には、加害者本人が賠償をすることとなりますから、加害者に充分な資力・財力がなければ、全体の支払いが遅れてしまいます。
更に悪い場合として、加害者が強制加入保険である自賠責保険にも加入していない場合も挙げられます。この場合には、自賠責保険において保障されている最低限の支払いすら保障されませんから、更に支払いが遅れてしまいます。この場合には、政府保障事業という特別の制度を用いて、国から一定の賠償を受けることとなります。
4.交通事故の慰謝料を早く受け取るためのポイント3選
以上の点を踏まえ、交通事故の慰謝料を早く受け取るためのポイントを3点ご紹介します。相手方や相手方保険会社との交渉を進める上では、これらの点に注意することで、早期の慰謝料受領が可能となるでしょう。
4-1. 示談をスムーズに進める
まずは何よりも、示談交渉をスムーズに進めることが重要です。
上述したとおり、示談・和解をして合意書を交わさなければ、慰謝料の支払いが得られません。このため、示談交渉に不必要に時間を掛けるべきではありません。
このためには、賠償金額が妥当かどうかなど、弁護士の力を借りるべきです。ぜひ、早期のご相談をご検討ください。
4-2. 保険会社との交渉を円滑に進める
また、加害者の保険会社との交渉を円滑に進めることも重要です。
加害者の保険会社の対応には、疑問を感じる方が多くありません。保険会社の担当者次第では、本当に首を傾げたくなるような不適切な対応を取ってしまう人がいることも事実です。しかしながら、このような対応を問題視して保険会社と揉め、これによって交渉に関する時間がかさんでしまうことは、それこそあなた自身のためになりません。
このような場合には、早期に弁護士に交渉を任せてしまい、円滑かつ迅速な交渉を可能とするべきです。ぜひ、相手方保険会社の担当者とのやり取りを、弁護士に任せてしまいましょう。
4-3. 手続きミスを防ぐための注意点
最後に、手続きミスを防ぐためにも、注意が必要です。
示談交渉、示談手続、保険会社への請求など、各段階において細かな手続が必要ですし、多くの書面を要することとなります。特に、自賠責保険に対して慰謝料の支払いを求める被害者請求については、かなり複雑かつ多様な書類の準備が必要となります。
これらの手続きでミスがあると、それだけ慰謝料支払いを受ける時期も遅れてしまいます。この手続きは、ぜひ、専門家である弁護士にお任せください。弁護士であれば、手続きでのミスを心配せずに、安心して事務処理を任せられるでしょう。
5.慰謝料について早期解決を希望するなら弁護士へ依頼
以上のとおり、慰謝料を早期に受領する方法についてご案内しました。早期受領のためのポイントにおいてご説明したとおり、やはり、専門家である弁護士、特に交通事故に熟達した弁護士への依頼が、慰謝料の早期受領に繋がります。
本ページをご覧になりましたら、ぜひ、早い段階で当事務所へのご相談をご検討ください。あなたのために、全力を尽くす弁護士が、あなたからのご相談をお待ちしております。