2024年8月2日
2024年8月2日
はじめに
このページをご覧の方の多くは、交通事故に遭われた被害者の方であろうと思います。
以下では、過失割合で加害者にゴネ得させない方法について、弁護士が解説いたします。
過失割合とは
そもそも過失割合とは、なんでしょうか?
過失割合とは、交通事故が起きた場合に、双方の過失の程度を比べた上で、賠償割合を定めるものとなります。
例えば、被害者に生じた損害が100万円であったとき、過失割合が被害者:加害者=0:100であれば、
損害額100万円を相手方に賠償させることができますが、過失割合が被害者:加害者=20:80であれば、
損害のうち80万円を相手方に支払わせることができるに留まります。
この場合、20万円は被害者が自腹を切るか、ご自身の加入する保険を利用することとなります。
交通事故の過失割合はどのように決まる?
それでは、過失割合はどのように決まるのでしょうか?
過失割合については、別冊判例タイムズ38号という雑誌に記載された基準を基本に、事故態様・過失の内容によって、ある程度決まります。この基準は、事故態様から双方車両の一般的な過失の程度を想定し、基本的な過失割合を定めた上で、特別な過失があるなどの追加事情があれば基本的な過失割合を修正するという基準となります。
交通事故の示談交渉に関して弁護士にご依頼をされている場合には、通常、この基準を用いて交渉を進めていきます。この際の交渉は法律・理屈に則った内容となりますので、上記過失割合を大きく外れた過失割合での合意をすることはあまりありません。
他方で、示談交渉に関して弁護士へのご依頼がされていない場合には、交通事故の被害者自身か保険会社が、過失割合の交渉を行うこととなります。この場合には、相手方に、いわゆる「ゴネ得」を許す可能性がありますので、注意が必要です。
加害者にゴネ得させない方法
「ゴネ得」とは、交通事故の加害者が、実際の事故態様とは異なる事実を主張したり、過失割合の基準と関係のない事実を理由に反論してきたりするなど、事故態様から導かれるべき妥当な過失割合による解決をさせないようにゴネることで、結果的に得をしてしまうことを指します。
加害者がゴネ続けると、被害者側の心が折れてしまい、不合理なまでに加害者側に有利な過失割合によって和解・示談をしてしまうケースがあります。交通事故による被害は、治療費だけでも100万円を超えることが多いため、わずか5%でも加害者に有利に過失割合を決定してしまうと、数万円から数十万円単位で賠償額が変わることとなってしまいます。
では、このようなゴネ得をさせないためには、どうしたら良いでしょうか?
まずは、被害者が安易に妥協せず、ゴネる加害者に対して毅然とした態度で対応することが挙げられます。このような態度を一貫して示すことで、正当な過失割合による解決を目指しましょう。このためには、例えばドライブレコーダーや防犯カメラ映像などの客観証拠を押さえて事故態様を特定するなど、加害者の嘘を許さないための対策が必要となります。
また、あなた自身も、上記の基本的な過失割合や修正要素について理解を深めておくことが有用でしょう。相手方の主張する過失割合が、事故態様からして妥当かどうかを知っておくだけでも、相手方の主張への対応策が決まって有益なはずです。過失割合については、インターネット上での情報も多いですが、弁護士に相談をするなど、専門家の助言・意見を聞いて判断することがベストです。
更に、ゴネ得させないために、訴訟提起するなど、裁判所の判断を仰ぐことも考えられます。事故に関する証拠を提出し、裁判所による客観的な判断を受けることで、ゴネ得による理由のない過失割合決定は防げるはずです。この場合には、必ず、弁護士へ依頼をするべきといえるでしょう。
加害者がゴネてきたときの対処法
さて、実際に加害者がゴネてきたときは、どのように対処するべきでしょうか?
この場合には、迷わず、できるだけ早期に弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。加害者がゴネて不当な過失割合を主張する際には、被害者が直接交渉をすると、大きなストレスを抱えることとなりますし、相手方次第では、訴訟等によって裁判所の判断を受けるしかない場合も想定されます。この場合には、交渉・法律のプロである弁護士に交渉から依頼をしてしまい、ご自身のストレスを軽減するとともに、できるだけ有利な解決を図ることを目指していくべきです。
これにより、加害者がゴネることで得をする自体は防げるはずです。
最後に
以上ご説明したとおり、加害者のゴネ得をさせないためには、交通事故の賠償交渉から、弁護士に早期に相談・依頼をしてしまうことが最善であると言えます。法律と定められた基準に則って、ご自身にとって最善の解決を図るためにも、早期の弁護士へのご相談をご検討いただければと思います。