2024年6月5日
2024年6月6日
バイクと車の事故によるケース別の過失割合
バイクと車(自動車)が事故を起こした場合、バイクに乗車していた方が大きな怪我をする可能性が高く、後遺障害に繋がる場合も多いので、バイクに乗車していた方の損害額が大きくなることが多いです。
しかも、バイクと車の事故では、通常の車同士の交通事故と異なる基準のもとで過失割合が決定されるので注意が必要です。以下、信号機が設置されていない、過失割合が問題となりやすい事故状況・ケース別に、過失割合の基準を確認していきます。
直進バイクと直進左方車の事故の過失割合
十字路で直進するバイクと左方から来る車が事故を起こした場合、原則的な過失割合は、バイク:車=50:50となります。
但し、一時停止規制の有無や、道路の広狭(広い狭い)、優先道路か否かによって、過失割合が変わるので注意が必要です。
直進バイクと直進右方車の事故の過失割合
十字路で直進するバイクと右方から来る車が事故を起こした場合、原則的な過失割合は、バイク:車=30:70となります。
但し、一時停止規制の有無や、道路の広狭(広い狭い)、優先道路か否かによって、過失割合が変わるので注意が必要です。
右折バイクと直進車の交差点事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=70:30となります。
右折バイクが車との距離感を見誤ると、この態様での事故が起きます。この事故では、直進車が減速しないままにバイクと衝突することが多く、バイクに乗っていた方が大怪我を負う可能性が高いです。
直進バイクと右折車の交差点事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=15:85となります。
右折車から見て、直進してくる車の後ろにバイクが隠れてしまうので、バイクと車の事故としては、この事故態様(右直事故)が非常に多いです。この場合は、車を運転する側により注意をすることが求められているといえます。
バイクと車の追突事故の過失割合
原則的には、追突された側には過失がないことが通常ですので、原則的な過失割合は、追突された側:追突した側=0:100となります。
但し、特に合理的理由がないにもかかわらず急ブレーキをした場合など、追突された側に道路交通法24条に違反するような事情があるときの原則的な過失割合は、車が追突した場合はバイク:車=20:80、バイクが追突した場合はバイク:車=60:40となります。
いわゆるあおり運転・あおり行為が流行した現在では、道路交通法に違反する急ブレーキで事故を起こすと危険運転致傷罪に問われる可能性もありますから、この事故態様は一種の社会問題ともいえます。
バイクのすり抜け事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=30:70となります。
先ほどの直進するバイクと右折車の交差点事故と似た類型の事故となりますが、渋滞車両の間から車が出てくる可能性があるため、バイクにより大きな注意義務が課され、過失割合が修正されます。
巻き込み事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=20:80となります。
この場合、バイクが車の下に滑り込むなどすることで、バイクに乗っていた方が腰部から下肢にかけての骨折を伴うような大怪我を負うことが多いです。このため、過失割合に関する交渉が激化する類型といえます。
直進バイクと道路外からの車の進入による事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=10:90となります。
道路外から道路に進入する車両には徐行義務が課されるので、これにもかかわらず事故を起こした車側に大きな過失があると認められます。
直進バイクと車の転回による事故の過失割合
転回中の車との間の事故の場合、原則的な過失割合は、バイク:車=10:90となります。なお、車の転回直後に事故が起きた場合には、バイク:車=20:80となります。
直進バイクと道路外からの車の進入による事故の過失割合
この場合の原則的な過失割合は、バイク:車=10:90となります。
車に乗車した方が後方に注意しないでドアを開けた過失が大きく捉えられますが、他方で、バイクが車との距離を空けずに走行していたことにも過失が認められることとなります。
バイクの過失割合の修正要素
以上の過失割合は、いずれも原則的なものとなり、更に細かな道路状況・運転状況・事故状況によって過失割合が修正されます。このような過失割合の修正要素について、代表的なものを確認していきます。
事故の状況
まずは、事故時の細かな状況によって過失割合が修正されます。
事故が起きたのは夜間だったのか、お互いの道路に優先関係はあったのか、交差点の見通しは良かったのかなど、様々な事情によって5~10%の修正が加えられていきます。
交通ルールの遵守
更に、事故時に双方の車両に交通ルール(特に交通法規)の違反がなかったかという点が修正要素となります。徐行義務、一時停止義務、方向指示義務など、多種多様な交通法規の違反の有無によって、5~10%の修正が加えられていきます。
また、バイク事故の場合、バイクに乗っていた方がヘルメットを着用していたか否かも過失割合の修正要素となります。
著しい過失・重過失
過失割合の修正要素として、最も判断が難しいのが、「著しい過失・重過失」の有無です。著しい過失や重過失があったと認められた場合、過失割合が10~20%程度修正されるため、非常に重要な修正要素です。
しかしながら、何が著しい過失や重過失に当たるのか明確に決まっているわけではないので、この点について主張するためには、裁判例・法令の入念な調査が必須となります。
バイク事故の示談交渉の注意点
バイク事故の場合、バイクに乗っていた方が大怪我を負ったり、後遺障害(後遺症)を負って働けなくなったりするなど、多大な損害を被る可能性があります。
このため、過失割合が5%変わるだけでも、損害額に大きな影響が生じるといえます。バイク事故における示談交渉時には、過失割合について慎重な交渉が必要となります。
まとめ ~過失割合・損害賠償の交渉は弁護士へご相談~
バイク事故の過失割合は、通常の車同士の事故とは異なる過失割合によって判断されます。更に、過失割合の修正要素は複雑です。ぜひ、バイク事故に遭われた・バイク事故を起こしたという方は、早期に弁護士にご相談いただき、交渉を任せてしまうことをお勧めいたします。