2024年6月6日
2024年6月6日
バイク事故の特徴
バイクの運転中に交通事故が起きた場合、バイクを運転していた人は、自動車と異なり、そのまま身体一つで道路へ投げ出されることとなるので、大怪我を負う可能性が高いです。
他方で、大きな怪我に至らなかったとしても、見えない部分の怪我として負いやすいのが、首のムチウチ/むち打ち症、頸椎捻挫です。
バイク事故でむちうちなど首を痛めやすい理由
バイクに乗車している場合、ヘルメットを被ることとなります。ヘルメットは思いのほか重いので、事故時の衝撃でバイクの速度が大きく変わった際、ヘルメットごと頭が強く揺さぶられます。このとき、首に大きな負担がかかるので、むちうちなどで首を痛めやすいのです。
特にバイク事故では、①右折する自動車に対向車線から進んできたバイクが突っ込む事故(右直事故)と、②左折する自動車に後方から進んできたバイクが巻き込まれる事故(左折巻き込み事故)が多いので、バイクが自動車に衝突した際に、頭を大きく揺さぶられることが頻繁に起きます。
バイク事故後に必要な検査
むち打ち症の症状はすぐには出ませんが、痛めた首の部位によって、肩・腕・手のしびれや痛み、握力等の筋力低下、知覚鈍麻、頭痛、めまいなどの様々な症状にみまわれます。場合によっては、症状が重く、強い倦怠感・脱力感に襲われる方もいらっしゃいます。
むち打ち症の症状は、頸椎捻挫による神経への影響によるものです。レントゲン撮影検査で骨折の有無を確認しても神経損傷の有無は分かりませんから、出来る限り、MRI検査を受ける必要があります。また、あとから交通事故との因果関係のない、つまり交通事故と無関係な怪我であるとの反論を受けることのないように、事故後早急にMRI検査を受けるべきです。
事故後早期のMRI検査の有無・内容によっては、後遺障害の有無が左右されることもありますので、注意が必要です。
バイク事故後の通院・治療方法と注意点
また、むち打ち症の症状はすぐには出ませんし、むしろ日数を経るに従って痛みやしびれが増してくるとお話しになる方も多いです。しかし、事故後早い時期から通院をすることが重要です。これは早期の治療開始によって、早い時期から症状を抑えていくことが早期の回復に役立つといえるためです。
バイク事故の場合、バイクに乗車していた方が投げ出されたり転倒したりするため、救急搬送されることが多いです。救急搬送先では、まさに緊急の対応を要する怪我の治療が優先されてむち打ち症の有無の検査・治療などはされませんから、事故翌日などの少し落ち着いた状態で、お近くの整形外科を受診されることをお勧めします。
場合によってはお仕事などで治療を受けたり通院したりすることが困難に感じるかもしれません。しかしながら、交通事故から日数が経ったあとで通院を開始すると、交通事故と無関係な痛みであると反論されて治療費が払われない可能性があります。ぜひ、まずは早期の受診を心がけてください。むしろ、仕事を休んで治療を受け、休んだ分の休業損害を相手方に請求する方が、安心して身体を回復させることができるといえます。
バイク事故後の損害賠償できる項目
バイク事故によって生じる損害として相手方に請求するものの代表例は、以下のとおりとなります。
① 治療費
病院・クリニックでの診察・治療費は、相手方に請求することができます。接骨院・整骨院での施術費用も、医師の指示に基づくものであれば、適切な範囲で支払を受けることができます。
事故から通院開始までの日にちが空いてしまった場合には、事故との因果関係を争われる可能性があるので、注意が必要です。
② 通院交通費
また、通院のために必要となった交通費も相手方に請求することが出来ます。自家用車を用いて通院した場合には、1キロメートル当たり15円の交通費がガソリン代相当の費用として支払われます。
③ 休業損害
また、怪我の影響によって休業をした場合や、通院のために仕事を休んだ場合には、休業損害額を相手方に請求することができます。
いわゆる有給休暇を取得した場合でも、本来は別の日に使うはずであった有給休暇を怪我の影響で早期に取得しなければならなかったといえますので、休業損害額の請求をすることができます。
④ 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
また、傷害を負った痛みについても精神的苦痛が生じますから、慰謝料を相手方に請求することができます。痛みの程度は傷害を負った方にしか分かりませんので、入通院をどれだけしたかという客観的数値から痛みの程度を推定して、一定の基準に従って慰謝料を算定します。
⑤ バイクの修理費用
バイクも故障することとなりますから、バイクの修理費用を相手方に請求することもできます。但し、バイクの場合は自動車と異なり、バイクの評価額(時価)よりも修理費用の方が高くなることが多いです。この場合を経済的全損といい、バイクの評価額までの範囲で支払を受けることとなりますので、注意が必要です。
まとめ
以上見てきましたとおり、バイク事故は大怪我をするリスクが大きいだけでなく、首を痛める可能性も高い事故類型となります。ぜひ、事故後早期に病院の診察・検査を受けて通院をするとともに、弁護士にもご相談をいただければと思います。