2021年7月7日
2021年7月8日
自転車事故と保険
近年、自転車と歩行者の交通事故で、自転車の運転者側に高額の賠償責任が課される裁判例が相次いでいます。
自転車が加害車両になる交通事故と、自動車が加害車両となる交通事故とで大きく違う点は、自動車の場合には自賠責保険といった強制保険があり、さらに任意保険への加入も一般的であるのに対し、自転車の場合は、強制保険がなく、任意保険への加入者も少ないということです。そのため、自転車が加害車両となる交通事故の被害者は、加害者自身に資力がない場合、適正な賠償を受けられないこともありえます。
もっとも、自転車が加害車両の場合であっても、適用となる保険もあります。まず、火災保険等に付帯されている個人賠償責任保険です。自転車が加害車両となる交通事故に遭遇し、負傷した場合、加害者が個人賠償責任保険に加入していないか確認してみてください。
また、自転車特有の保険として、TSマーク付帯保険があります。TSマークとは、自転車安全整備士による点検・整備を受けた普通自転車に貼付されるマークです。TSマークの貼られている自転車による交通事故で、被害者が死亡したり、重度後遺障害を負った場合、その交通事故がTSマークに記載されている点検整備の日から一年以内に発生したものであれば、TSマークの種類にもよりますが、被害者は最大で5000万円まで賠償を受けることができます。TSマーク付きの自転車の搭乗者自身が負傷した場合も、一定の場合には保険金が支払われます。
自転車による交通事故は、加害者と直接交渉しなければならず、賠償を円滑に受けることができないことも少なくないと思います。自転車による交通事故であっても、上記のような保険が使えることもありますので、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。