2024年9月19日
2024年9月19日
バイク事故の死亡率と重傷率は高い
バイク事故は、通常の自動車同士の交通事故以上に、バイクの運転者が死亡したり重傷を負ったりする可能性が高い自己類型といえます。
バイク事故の死亡率と重傷率
警察庁作成の交通事故統計によれば、令和元年から令和5年までの統計上、バイク事故によってバイクに乗った人が死亡する可能性(致死率)は、1.37%~1.66%程度とされています。これは、バイクに乗車した状態で交通事故に遭った人のうち、約65人に1人が死亡しているということを意味します。自動車や原動機付自転車(いわゆる原付)乗車中の事故による致死率が0.3%~0.8%程度であることと比較すると、バイク事故の致死率は2~5倍程度の高さであると分かります。
また、バイク乗車中の交通事故によって重傷(1か月以上の治療を要する怪我を指します)を負う可能性は、約17%程度と高く、自動車や原付乗車中の数倍の危険性を伴っているということがいえます。
バイク事故の死亡率・重傷率が高い理由
それでは、バイク事故時の死亡率・重傷率が高い理由はどこにあるのでしょうか?
主な原因は、バイクは自動車と同程度の速度が出るにもかかわらず、乗車する人間は守るものがヘルメットや胸部プロテクター程度しかないことにあります。
バイクが交通事故に遭った場合、乗車している人は道路上へ投げ出される可能性が高く、特に頭部を打つ可能性が高いです。このため、死亡率・重傷率が高くなってしまうのです。特に、統計上は自動車との衝突事故(中でも、右折する自動車が直進するバイクと衝突する事故)の死亡率が非常に高くなっています。
バイク事故の原因と対策
それでは、バイク事故の原因はどこにあるのでしょうか?以下では、対策と共にバイク事故の原因をご紹介します。
バイク事故の原因
スピード超過の危険性
バイク事故の原因の一つは、バイクがスピード超過をしてしまいがちなことにあります。バイクを運転していると、簡単に自動車を追い越すことができますから、安易に速度超過をしてしまいがちです。このようなスピードの出し過ぎによって、バイクの操作を誤るなどして交通事故を引き起こすことのないように、注意が必要です。
危険な追い越しやすり抜け
バイクは追い越しやすり抜けをしやすい乗り物です。特に、自動車と自動車の間をすり抜けたり、自動車をその右側から追い抜いたりする行為には、注意が必要です。死亡率の高い右直事故(右折する自動車と直進するバイクの衝突事故)は、右折する自動車の運転手が、対向車線の自動車の脇をすり抜けてくるバイクに気付かなかったことによって生じることが多いです。
周りを走る自動車に見落とされることのないように、ご自身のバイクを運転する際には注意が必要です。
ヘルメットや姿勢による視野の狭さ
また、バイクを運転する際には、ヘルメットを装着して前傾姿勢を取ることとなりますから、運転者自身の視野が狭くなり、周囲から自車に近付いてくる自動車の存在に気付くことが遅れることがあります。これによって周囲の車両状況に応じた運転操作が遅れてしまいますから、この点もバイク事故の原因の一つとなっています。
前方不注意と接触
もちろん、バイク運転者の単純な不注意も、バイク事故の原因になるので注意が必要です。バイク運転中の動画配信などが増えてはきていますが、これらの配信機材の操作に気を取られている間に、他の車両に追突したり接触したりしてしまうことがないように注意しなければなりません。
この点は、バイク運転中に歩行者や自転車と接触してしまうという、バイク運転者が加害者になるようなバイク事故の大きな要因ともいえます。
自動車の死角に入りやすい
バイクは、自動車の死角に入りやすいということを、バイク運転者の側でも認識しておかなければなりません。バイクは、自動車のすぐ横を走る際には、自動車の各種ミラーの死角に入ります。また、バスなどの大型車を左側から追い抜く際には、対向車の死角に入ります。
これらの死角に入ることを原因として、いわゆる左折巻き込み事故や、右直事故が起きますので、バイク運転者としても、自動車の死角に入らないように注意することで事故を予防することができます。
バイク事故から身を守るための対策
さて、上記のような事故原因に注意をしても、バイク事故を完全に無くすことはできません。そこで、バイク運手者としては、バイク事故から身を守るための対策も取っておく必要があります。
ヘルメット・プロテクターを正しくつける
まずは、ヘルメット・胸部等のプロテクターを正しくつけることで、バイク事故時の被害を抑えましょう。警視庁による2023年の調査(二輪車利用者に対するヘルメット及び胸部プロテクターの着用状況調査結果)によれば、バイク事故が起きた際の死者のうち、ヘルメットが脱落して取れてしまった方の割合が30パーセントとなっています。ヘルメットは、必ず、あごひもを正しく結束してヘルメットが事故時に落ちないようにしましょう。
また、胸部プロテクター装着率は、バイク運転者の10パーセント未満となっていますが、バイク事故による死者のうち、その4分の1が胸部を損傷して死亡しています。ぜひ、胸部プロテクターを装着し、万が一の事故時にご自身の命を守るよう、心がけましょう。
バイクの点検やメンテナンスを日常的に行う
もちろん、バイク自体の点検・メンテナンスも日常的に行っておくことが必要です。ブレーキの不調など、バイクの点検不良によって、通常であれば回避できた事故を回避できなくなってしまう可能性もあります。適宜のタイミングで定期的・日常的にメンテナンスを行っていきましょう。
対策の有無が過失割合にも影響する
このように、バイク事故時にヘルメット・胸部プロテクター装着をするなど、事故対策をとっていたかどうかは、交通事故時の過失割合にも影響を及ぼします。例えば、ヘルメットを装着していなかったがために頭部に怪我をした場合には、道路交通法に違反してヘルメット装着しなかったバイク運転手側に一定の過失(怪我の原因)があるとされてしまいます。
特に大きな怪我の多いバイク事故ですから、事故後に後悔しないよう、必ずヘルメット等の装着はしましょう。
バイク事故後の後悔を減らすために
さて、以下では、バイク事故後の後悔を減らすための注意点についても簡単にご説明します。
安全運転の心得
まずは、運転の基本ですが、安全運転を心がけましょう。スピード違反、危険な追い越し・すり抜け、前方不注視などのないように、気をつけながら運転をすることが必須です。
免許取得と安全講習
もちろん、当然ながら無免許運転をしてはいけません。免許取得時と免許更新時の安全運転講習は、道路交通法の内容について細かく指導してくれるものとなっています。教本はご自宅に保管しておくなどして、運転する上でのルールを常に学び続けることが重要です。
速度制限とブレーキ操作
また、速度制限とブレーキ操作も確実に行いましょう。運転中は、自動車の横をすり抜け続けるのではなく、前方車両と車間距離を空けて運転することも重要です。
転倒防止の車体確認
バイクの転倒防止のための車体確認も忘れないようにしましょう。普段からのメンテナンスにおいて、車体に不備を残すことのないように確認をしていくことが重要です。
任意保険への加入
バイク事故に遭った際に懸念されるのは、相手方に生じてしまった損害を賠償することでしょう。バイク事故時にはバイク運転者が大きな怪我をする可能性が高いですが、もちろん、相手方に怪我をさせるなどする場合もあります。この際の賠償金は保険会社に負担してもらわなければ、非常に高額の支払を自ら行う必要が生じてしまいます。
必ず、自賠責保険のみならず、任意保険にも加入をするようにしましょう。この際、弁護士費用特約保険にも加入しておくと、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。こちらも必ず加入することをお勧めいたします。
バイク事故後の対応と弁護士
さて、実際にバイク事故が起きてしまった場合には、弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。
示談と弁護士の役割
バイク事故が起きた場合、ほとんどの事故類型で、お互いの過失割合が問題となります。バイクも動いている以上は、過失が0になることが少ないのです。この場合には、弁護士に過失割合に関する交渉を依頼してしまうべきです。
弁護士は示談交渉のプロですから、ご自身で交渉を行ってストレスを溜めることなく、専門家に任せてしまいましょう。
後遺障害と補償請求
また、あなたに後遺障害が残った場合には、相手方にその補償を求めることとなります。後遺障害が残ると、賠償額は高額となりますから、あなたに最大限有利になるように、相手方保険会社の言いなりにならないように、弁護士による交渉を行うべきです。
慰謝料の計算方法
また、交通事故・バイク事故に遭った際の慰謝料の計算方法については、以下のページをご覧ください。
慰謝料計算
まとめ
以上のとおり、バイク事故の死亡率等や、バイク事故における注意点についてご説明しました。バイク事故でお悩みの方・お困りの方は、できるだけ早期に、当事務所までご相談ください。