2024年7月3日
2024年7月3日
目次
1:バイクと自転車の事故の過失割合とは?
1-1:バイク側の過失割合が大きくなる理由
バイクと自転車が交通事故を起こしたケースでは、自動車と自転車ほどではないにせよ、自転車に乗車した方が大怪我を負うケースが多いです。この際、バイクと自転車が交通事故を起こすと、一般的には、バイクの方に大きな過失割合が認められることとなります。
これは、バイクの運転者が運転免許を保有していること、バイクの方が自転車よりも高速度で進行することなどから、バイクの運転者に、より高度の注意義務が課されるためです。自転車は幼児でも高齢者でも特段の免許を要せずに運転できますから、バイク側が注意をする必要性が高いということですね。
以下、バイクと自転車の事故によるケース別の原則的な過失割合をご説明します。
2:バイクと自転車の事故による状況・ケース別の過失割合
2-1:信号がない交差点での衝突事故
お互いに直線・同じ道幅
この場合が、バイクと自転車の事故の基本類型となります。
この場合の過失割合は、自転車:バイク=20:80となります。やはり、バイク側に大きな過失があると捉えられます。
お互いに直線・バイクの方の道幅が広い
この場合の過失割合は、自転車:バイク=30:70となります。広い道路に進入する側に、より大きな注意を要求されますので、基本類型から10%の過失割合の調整がなされます。
お互いに直線・自転車の方の道幅が広い
この場合の過失割合は、自転車:バイク=10:90となります。
バイクが右折、自転車が直進
この場合の過失割合は、自転車:バイク=10:90となります。
バイクが直進、自転車が右折
この場合の過失割合は、自転車:バイク=50:50となります。
2-2:信号のある交差点での衝突事故
バイク側が赤、自転車側が青
バイク側が赤信号無視しているため、過失割合は自転車:バイク=0:100となります。
バイク側が青、自転車側が赤
自転車側に赤信号無視の過失がありますが、過失割合は自転車:バイク=20:80となります。赤信号無視とはいえ、バイクの前方不注視にも過失が認められることになるので注意が必要です。
バイク側が赤、自転車側が黄
この場合の過失割合は、自転車:バイク=10:90となります。
バイク側が赤、自転車側が黄で侵入し衝突時は赤
但し、自転車側が赤信号になる直前に交差点に進入した場合は、自転車:バイク=15:85となります。
バイク側が黄、自転車側が赤
この場合の過失割合は、自転車:バイク=60:40となります。 但し、バイク側が赤信号になる直前に交差点に進入した場合は、自転車:バイク=45:55となります。
双方とも赤
この場合、双方に赤信号無視の過失があります。この場合の過失割合は、自転車:バイク=30:70となります。
バイクが右折、自転車が直進
この場合、両方の信号が青信号であれば、過失割合は自転車:バイク=10:90となります。バイク側には、右折時の徐行義務が課されるため、それにもかかわらず事故を起こした過失が問われます。
バイクが直進、自転車が右折
この場合、両方の信号が青信号であれば、過失割合は自転車:バイク=50:50となります。
2-3:信号機のない交差点で、同一方向から同一道路に進入による事故(自転車直進、バイク右折予定)
この場合の過失割合は、自転車:バイク=15:85となります。対向車線から向かってくる自転車以上に、自車後方から進行してくる自転車を見落としやすいことから、若干バイク側の過失が緩和されています。
2-4:信号のある交差点で、同一方向から同一道路に進入による事故(自転車直進、バイク右折予定)
直進車・右折車ともに青信号
この場合、過失割合は自転車:バイク=15:85となります。
直進車が黄信号で進入し、右折車が青信号で進入した後、黄信号で右折
この場合の過失割合は、自転車:バイク=45:55となります。
直進車・右折車ともに黄信号で進入
この場合の過失割合は、自転車:バイク=35:65となります。
直進車・右折車ともに赤信号で進入
この場合の過失割合は、自転車:バイク=35:65となります。
直進車が赤信号で進入し、右折車が青又は黄信号で進入した後、赤信号で右折
この場合の過失割合は、自転車:バイク=75:25となります。自転車側に赤信号無視があるため、過失割合が大きく修正されます。
直進車が赤信号で進入し、右折車が青矢印による右折可の信号で進入
この場合の過失割合は、自転車:バイク=85:15となります。
2-5:横断歩道での事故
歩行者の場合は、横断歩道上で事故にあったら歩行者の過失割合は原則的に0となります。しかしながら、自転車の場合は、これと異なり、上述した事故類型の中から似たような事故態様のものの過失割合を用いますので、注意が必要です。
但し、横断歩道上に歩行者用信号機がある場合には、更に異なる基準を用いて過失割合を算出します。
2-6:歩行者による影響がある場合
自転車が歩行者等の障害物を避けるために車道に出て、後方から進行してくるバイクと接触した場合、過失割合は、自転車:バイク=10:90となります。
3:自転車の過失割合が変わるケース
以上の基準は、バイクの方が自転車よりも高速度になることが多いことから用いられます。このため、自転車が時速30キロメートル程度など、原動機付自転車級の速度で走行していった場合には、自転車をバイク類似の車両とみなしてバイク同士の事故における過失割合を用います。
4:バイクと自転車の事故における必要な対応と示談交渉の注意点
バイクと自転車の事故が起きた場合には、自動車事故と異なり、バイク側にも自転車側にもドライブレコーダーが搭載されていないことが多いので、事故態様・過失割合において激しい争いとなることがあります。事案によっては、自転車が止まっていたか、動いていたかといった大前提から争いになることもあります。このため、事故が起きた際には、必ず警察に通報して事故状況を証拠化してもらうなど、注意が必要となります。
また示談交渉時には、自転車に乗車した方が大怪我を負う可能性が高いので、わずか5%過失割合が変わるだけでも、損害賠償額に大きな違いが生じますから、慎重な交渉を要するといえます。
5:まとめ
バイクと自転車の事故に関する過失割合については、以上ご説明したとおりとなります。原則的にはバイク側の過失が大きくなりますから、注意が必要です。
特に、自転車特有の過失割合の修正要素として、自転車の無灯火、自転車の片手運転、二人乗りなどを見落とさないように注意が必要です。また、近時は道路交通法の改正によって自転車運転者にヘルメット着用の努力義務が課されましたので、この点を過失割合算定に影響させようとする動きもあります。
6:過失割合・損害賠償の交渉は弁護士へご相談
バイクと自転車との事故の過失割合は、通常の車同士・バイク同士の事故とは異なる過失割合によって判断されます。更に、過失割合の修正要素は複雑です。また、大怪我をした場合など、わずか5%の過失の差が大きな金額差を生じさせることもあります。
ぜひ、バイクと自転車の事故を起こした・起こされたという方は、早期に弁護士にご相談いただき、交渉を任せてしまうことをお勧めいたします。