2021年7月7日
2021年7月8日
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
聞いたことのある方はいらっしゃるでしょうか。 これまで、交通事故の加害者を処罰する法律は刑法に規定されていたのですが、平成26年5月20日より、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が施行され、交通事故の加害者はこの法令により処罰されることになりました。
これまでは過失によって人を死傷させた交通事故加害者は、刑法に定められた自動車運転過失致死傷罪が適用されていましたが、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が施行されることにより、同法に基づいて過失運転致死傷罪として処罰されることになりました。罪名は、自動車運転過失致死傷罪から過失運転致死傷罪に変わったものの刑罰の内容はこれまでと変わりません(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)。
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が、新たに定められた趣旨は、当然、罪名の名称を変えることにあるわけではありません。悪質・危険な運転を行う自動車運転者により重大な交通事故が頻発している現状をふまえて、悪質・危険な運転に関する新たな犯罪類型を作り、悪質・危険な運転に対する罰則を強化することにあります。
悪質・危険な運転に対しては、従来も危険運転致死傷罪が刑法において定められていましたが、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」では、従来の危険運転致死傷罪に加えて、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気の影響により、運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、人を死傷させた場合等が新たな危険運転致死傷罪の類型として定められました。この他にも新たに危険運転致死傷罪として定められた類型や、無免許運転による刑の加重など、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」には交通事故に携わる者にとって重要なポイントがいくつもあります。
今後、このブログでも解説していきたいと思います。