学校内の事故について
学校での授業中や部活動中に、生徒や児童が怪我をしたというような場合、治療費や慰謝料、逸失利益といった賠償金は誰に請求したら良いのでしょうか。
公立学校の場合、学校の設置主体である県や市町村に損害賠償請求することになります。
根拠となる法律は、国家賠償法1条です。
この場合、教師個人への責任追及はできません。
授業を行う教員や、部活動を監督する顧問の教員に、生徒や児童の負傷について過失が認められるかが問題となります。
私立学校の場合は、学校設置主体に対して、使用者責任(民法715条)や債務不履行責任(民法415条)を追及することになります
この場合も、教員の過失が問題となります。
どのような場合に、教員の過失が認められるかは、具体的な事情によって異なります。法的な判断が必要ですので、弁護士への相談をおすすめします。
また、加害者がいる事故の場合は、加害者である生徒や児童に対して、民709条の不法行為責任に基づいて損害賠償請求することも考えられます。
もっとも、未成年者が加害者の場合で、責任能力が認められない場合は、加害者本人は責任を負いません(民法712条)。判例における責任能力を備える目安は12歳前後といわれています。このような場合は、監督義務者である両親に対して損害賠償請求することになります(民法714条)。
また、加害者が本人に責任能力が認められる場合であっても、加害者が学生の場合、賠償のための資力がないことも多いです。この場合も、監督義務者である両親が監督を怠ったこと自体を不法行為であるとして、両親に損害賠償請求することが考えられます。ただし、民法714条を根拠にできないため、立証のハードルは高いと言われています。
このように、学校内の事故は、誰に対して損害賠償請求するかという点も問題になります。
適正な賠償を受けるには、誰を相手にするかということも非常に重要になってきます。
放課後に校庭(公立学校)の遊具で遊んでいたところ、遊具が壊れて怪我をしたという場合は、誰に損害賠償請求すればいいでしょうか。
この場合も、学校の設置主体である県や市町村に対して損害賠償請求することになります。
その遊具が通常有すべき安全性を備えていなかったことを主張立証して、県や市町村に損害賠償請求することになります。根拠になる法律は、国賠法2条です。
以上のように、学校内で負傷したという場合、損害賠償請求するためには、教員に過失があったのか、当該遊具が通常有すべき安全性を備えていたのか等、高度な法的判断が必要となります。そのため、弁護士に交渉や裁判を依頼した方が良いといえます。
また、負傷した場合には、後遺症の程度も問題になってきます。交通事故の場合は、自賠責保険が後遺障害等級を認定してくれますが、このような学校内での事故の場合、後遺障害等級を認定してくれる機関はありません。そのため、診療録等の医学的資料から、どの程度の後遺症が残存しているかということを立証していかなくてはなりません。事案によっては、事故と後遺症の因果関係も争われることがあります。このような場合に、適切に反論し、後遺症の立証、因果関係の立証をするためには、医学的に知識が必須となります
当事務所は、交通事故の被害者側代理人として培った後遺症立証のノウハウや医学的知識を多く有しており、学校内での事故においてこのような知見を有効に活用して、被害者の方にお怪我に見合った適正な賠償金をお届けできるように全力を尽くしています。
学校内で負傷したという場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。