2021年7月8日
2021年7月8日
~自保ジャーナル掲載!事例の解説シリーズ第1回~「将来の治療費の問題点及び獲得する方法について」
弊所に所属する弁護士林田芳弘が対応した訴訟の判決が自保ジャーナル2082号70頁に掲載されました。 掲載された事例に関して、全4回に渡って解説コラムを掲載します。
第1回目は、「将来の治療費の問題点及び獲得する方法について」です。
第1 将来の治療費の問題点
1.後遺症が治るまでの治療費が出ないのか。
事故に遭われた多くの方が「事故に遭って後遺症が残ったのだから、加害者保険会社が被害者の後遺症が治るまで永遠に治療費を負担してくれる」と思われているのではないでしょうか。
『間違いです。』
まず、原則として、被害者の症状が固定(症状固定)した場合、治療(療養)は終了したものとして、症状固定後の治療費(将来の治療費)は認められません。
例外として、後遺障害の内容や症状固定後の治療の必要性、相当性があれば認められると考えられています。
私の感覚となりますが、ほとんどの保険会社は、この必要性などの主張をしても、話合いでは将来の治療費を出してくれない印象です。
2.訴訟上の立証という問題
訴訟上ルールとして、将来の治療費が必要であることを証明しないといけないのは「原告(被害者)」の責任になります。
単に、将来の治療費が必要であると主張しているだけでは、将来の治療費は認められません。
「証拠」がなければ認められないということになります。
これが、「立証」という問題です。
残存している後遺障害から将来どのような治療が必要になり、その治療のために支出する費用がいくらであるのかを「証拠」をもって証明(立証)しなければなりません。
第2 将来の治療費を獲得する方法
証拠が重要になることはご理解いただけたと思います。
では、この「証拠」はどうやって獲得するのかというのが最大のポイントです。
これについては、「医師の協力」が重要であると考えております。
主治医の協力の下、「残存する後遺障害の内容、それに伴う治療の必要性・相当性、治療費額など」をご説明していただければ、「証拠」を獲得することができます。
第3 本質的な問題について
本質的な問題は、『医師の協力を得られるか』だと感じます。実際の多くの医師がご協力を下さっており感謝しきれないですが、中には積極的にご協力いただけない先生方もいらっしゃいます。
交通事故における治療・後遺障害の問題においては、主治医の先生にご協力いただかないといけません。
日々の治療中から医師とのコミュニケーションは積極的に取っていただくことが重要だと思います。
今回は、すべてご協力をいただき、「意見書」までもご作成頂きましたので「証拠」を獲得することができ、将来の治療費を獲得出来たのではないかと思います。
弊所では、医療機関への働きかけなどを被害者の皆様と一緒に行っております。
交通事故でケガを負ったときはすぐに弊所の事故傷害部の無料法律相談へお問い合わせください。
また、賠償金額が提示される前、された後でも免責証書にサインをする前に弊所の無料法律相談へお問い合わせください。