2024年12月9日
2024年12月9日
目次
1.バイク事故による後遺症の主な症状と原因
バイク事故が起きた場合、バイクに乗車している人は、ヘルメットやプロテクター以外に自分の身を守るものがないので、大きな怪我を負う可能性があります。この場合には、後遺症を負ってしまうこともあります。
交通事故時に被害賠償を求める際、ご自身の後遺症が、交通事故において慰謝料等の賠償を可能とする「後遺障害」に該当するかどうか、よくご検討いただく必要があります。以下では、バイク事故による後遺症の主な症状と原因についてご説明します。
いわゆる「むちうち」
バイク事故が軽微であったとしても、急ブレーキや、衝突による衝撃で、上半身が強く揺さぶられることとなり、頸椎や腰椎を痛めることがあります(頸椎捻挫・腰椎捻挫等)。この場合、手足などの痺れ・痛みを感じる後遺症が残ることがあります。
手足の可動域制限や欠損
バイク事故時に、車体から投げ出された衝撃や、別車両とバイクとの間に挟まれることで、手足に障害を負うことがあります。例えば、足の甲の関節(リスフラン関節といいます。)付近の骨折に伴って足が曲がらなくなったり、手足が切断されたりしてしまう場合を指します。
外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)
また、バイク事故時は身体が投げ出されて怪我をすることがあるので、傷痕、瘢痕、手術痕などが残る場合もあります。これらの痕も、痕が外部に見える場合には、後遺症といえるでしょう。
頭部外傷に伴う様々な症状
バイク事故の場合、高速度の自動車と衝突して跳ね飛ばされるなどすることで、頭部を強く打つことも多くあります。この場合には、寝たきりで介護を要する状態となってしまったり、高次脳機能障害と呼ばれる様々な障害が残ったりすることもあります。
2.後遺障害認定を受けるための流れとポイント
このような各種後遺症があったとしても、これを「後遺障害」であると認めてもらわなければ、つまり「後遺障害認定」がなされなければ、後遺症に対する賠償はなされません。
後遺障害認定は、自賠責保険会社を通して損害保険料率算出機構という機構に後遺障害認定の申請をすることによって受けることができます。
後遺障害認定を受けるためには、
- 医師が作成する後遺障害診断書作成時に、可動域制限の有無などの検査を細かく実施いただき、ご自身の症状を余すことなく記載いただくこと
- 入通院時のカルテの開示を受けるなど、各種関係資料を集めること
これらが重要なポイントとなります。ぜひ、後遺障害認定申請時には、弁護士に事前の相談をし、的確なアドバイスを受けるように留意してください。
3.後遺症に対する賠償請求の手順とポイント
後遺症に対する賠償請求の手順とポイントを整理しますと、以下のとおりとなります。
①:交通事故発生
②:治療開始
③:治療の終了=症状固定との判断
※症状固定とは、医師が、「これ以上治療を継続しても、症状の改善が見込まれない状況」になったと判断することを指します。医師に対してご自身の症状と、その改善の有無を適切にお伝えいただくことが重要なポイントとなります。
④:後遺障害診断書の作成依頼
※通院先の病院を変える、つまり転院を繰り返していると、あなたの症状を最初から見ていないとして、後遺障害診断書の作成を断られてしまうことがありますから、病院のご選択は慎重になさってください。内部にリハビリ施設も併用されている病院へ通院すれば、転院が繰り返されることは少ないでしょう。
⑤:後遺障害認定申請に必要な書類の収集
⑥:後遺障害認定申請
※後遺障害認定申請の方法は2通りあります。相手方の任意保険会社を通して申請する場合を「事前認定」、相手方の任意保険会社を通さず申請する場合を「被害者請求」ということが多いです。被害者請求の方が、必要書類が多く、手続も複雑ですが、後遺障害認定が通る可能性はあがります。ぜひ、弁護士の助力を得るようにしてください。
⑦:後遺障害認定の有無が決定
⑧:後遺障害認定がされた場合には、賠償請求
このような流れで賠償請求は進みます。ポイントとなる各点において、適切な行動を取ることが重要です。ご心配な方は、弁護士のご助言を早い段階から受けておくべきといえます。
4.後遺症に対する治療とリハビリの選択肢
後遺症に対する治療やリハビリには、後遺症ごとに多くの選択肢があります。また、治療やリハビリに集中することで、事故によって負った怪我を回復させることこそ、本来行うべきことといえます。これにもかかわらず、事故後に相手方保険会社との交渉に時間や力を掛けてしまっては、元も子もありませんから、弁護士の協力を得ながら。治療やリハビリに集中してください。
ちなみに、症状固定後は、原則的に相手方から治療費が支払われません。この場合には、相手方から受け取った慰謝料等を治療費に充てていくこととなります。このためにも、相手方から適切な賠償金を得ることができるように、交渉を優位に進めましょう。
5.実際の事例から学ぶ|後遺症と生活への影響
さて、それでは、実際の事例から後遺症と生活への影響を見てみましょう。
ここでは、会社員のAさん(30代・男性)が、バイク事故によって鎖骨骨折をしてしまった事例をご紹介します。Aさんは、バイクに乗車して運転中に横から出てきた自動車に衝突し、頸椎捻挫と鎖骨骨折の傷害を負いました。
この方は、清掃業に就かれていたのですが、鎖骨骨折により長期間の休養を余儀なくされました。6か月間の治療の末に症状固定と診断され、頸椎捻挫による痛み・痺れと、鎖骨骨折後の鎖骨の変形・肩の可動域制限という後遺症が残っています。
この方は、業務内容を事務作業に変更されたことから、給与が減少してしまいました。また、普段の生活においても、長時間家事をすることや、掃除機などの重い物を持つ際に痛みを感じてしまうようになりました。
このように、後遺症が残ると、仕事や生活への影響が多大です。これに伴う苦痛を埋めるためにも、適切な被害弁償を受けましょう。
6.後遺症が残ったときに弁護士に相談するメリット
以上のとおり、バイク事故の後遺症についてご説明しました。弁護士にご相談すれば、後遺障害認定がなされる可能性が高まるとともに、治療・リハビリに集中することができるでしょう。
バイク事故でお悩みの方は、ぜひ、交通事故の対応経験が多い当事務所に、ご相談ください。