2021年7月8日
「驚愕!! 敵は身内にいる!? 自分の保険会社の約款に注意してください!」(第1回目(全2回))
今回は、加害者加入の保険会社ではなく、ご自身で加入している保険についての注意喚起のコラムになります。
注意をすべき保険内容としては①弁護士費用特約における算定方法と弁護士費用の支払についての問題、②通勤災害の際の弁護士費用特約の利用不可の問題です。
1.弁護士費用特約の算定方法
(1)我々、弁護士法人グレイスの事故・傷害部では、弁護士費用特約に加入されている被害者の方については、弁護士費用特約の利用をお勧めしております。
弁護士費用特約とは、我々の弁護士費用をご加入の保険会社が上限額まで負担してくれるというものです。
では、弁護士費用の算定方法はどのようになっていると思われますでしょうか。
「弁護士費用は高額と聞いた事があるから上限額の300万円?」「請求額の10%?」
すべて間違いです。
(2)保険会社から支払われる弁護士費用については3つに分けられます。
- LAC(日弁連リーガル・アクセス・センター)に加盟している保険会社→LAC基準
例)LAC基準の例
報酬金
経済的利益が300万円以下 経済的利益16%(別途消費税)
・・・など - LACに加盟していない保険会社→独自の支払基準
例)某保険会社
報酬金
経済的利益が125万円以下 金20万円(別途消費税)
・・・など - それ以外→「?」
「?」
※LAC基準(日弁連リーガル・アクセス・センター基準)を簡単にご説明いたします。
弁護士費用保険制度を運用するにあたって、複数の保険会社と日本弁護士連合会が弁護士費用などについて「協定」を結び、当該協定に定められた弁護士費用の基準をLAC基準といいます。
(3) 弊所の事故・傷害部における弁護士費用特約の利用については、日本弁護士連合会と保険会社が協定結んだ制度(LAC制度「リーガル・アクセス・センター」)に従って請求しております。
また、当該制度に加盟していない保険会社との間では、保険会社の基準に従って請求しております。
しかしながら、適切に請求しているにもかかわらず、被害者が加入している保険会社から適切な弁護士費用が支払われないという事態が起きています。
そして、この事態は、被害者が弁護士費用を負担するという結論になるため、要注意の問題です。
(4)今回の注意喚起は、前記における③の「それ以外」の保険会社です。
このそれ以外とは「LACに加盟しておきながら、独自の支払基準を約款上作っている保険会社」です。
なぜ、気を付けないといけないかというと、我々が被害者加入の保険会社に対してLAC基準に則って弁護士費用を請求したものの、「内部基準があるので払えません」という回答をする保険会社が複数出てきております。
弊所は、被害者の方とはLAC基準の通り契約を締結していますのでご自身が加入している保険会社が弁護士費用を支払わない場合には、被害者が弁護士費用を負担することになります。
加害者加入の保険会社から獲得した賠償金をそのまま受け取れると思っていたにもかかわらず、弁護士費用を支払わないといけないという事態が起きます。
2.要注意事項
「LACに加盟しておきながら、独自の支払基準があるという保険会社」には要注意です。現時点で某有名保険会社「2社」がこのような対応をしていることを確認しております。
自分が加入している保険会社なのにもかかわらず、また、毎月保険料を支払っているにもかかわらず、弁護士費用を支払わないとの対応をする保険会社が出てきています。
ご自身のみを守るために保険に加入しているにもかかわらず、利用するときに「実は支払いません」という結論となることがあります。
是非、ご自身の保険を確認してみてください。
今回は、弁護士費用の支払基準に関する注意喚起のコラムでした。
次回は、「通勤災害の際の弁護士費用特約の利用不可」の問題です