2021年7月8日
ご遺族の皆様、その賠償金額で良いんですか? 就労可能年数編
交通事故が起き、被害者が死亡したとき、被害者が本来得られるはずであった収入、年金などが得られなくなったという損害を「死亡逸失利益」といいます。
この死亡逸失利益の算定にあたって、就労可能年数という概念が出てきます。
分かりやすく説明すると、お亡くなりになられた方が「何歳まで働けたのか」という問題です。
一般的に就労可能年数は「67歳まで」と言われています。
例えば、40歳の被害者であれば、本来であれば、後27年間働けたと仮定し、「死亡逸失利益」を算定します。
ここで、65歳など就労可能年数である67歳に近い年齢の被害者などの就労可能年数はどうなるかという問題があります。
この問題は、賠償金額に大きく影響します。そして、保険会社が提示する賠償金額として、「著しく低い金額」が提示されることがあります。
具体的な例を見ていただきながら、保険会社の考える見解と弁護士の見解の違いを知っていただければと思います。
例)年収600万円の65歳の被害者(家族3人暮らし)が交通事故で死亡した場合の死亡逸失利益について(年金部分は除く)。
とある保険会社の見解
就労可能年数は67歳までなので2年間を死亡の逸失利益とするため、死亡逸失利益は、1188万120円である。
6,000,000円×(1-0.3)×(67歳までの2年間に対応するライプニッツ係数2.8286) =11,880,120円
弁護士の見解
就労可能年数は67歳までではなく、平均余命の2分の1であるとして約10年とすべきであり3582万6840円である。
6,000,000円×(1-0.3)×(平均余命の2分の1(平成30年65歳の平均余命19.7年の2分の1である約10年に対応するライプニッツ係数8.5302) =35,826,840円
ご遺族の皆様に対して、保険会社から「賠償金として1500万円を支払います。これが支払いの限界です。」と言われたら、そう信じてしまうのではないでしょうか。
いまいちど、免責証書にサインする前に考えてください。
本当にその賠償金額でいいんですか!?
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