2021年7月8日
高次脳機能障害の後遺障害申請のポイント
1 交通事故で高次脳機能障害の後遺症が残存した場合、後遺障害申請をするためには、後遺障害診断書だけでは足りません。
後遺障害診断書の他に、「頭部外傷後の意識障害についての所見」「神経系統の障害に関する医学的意見」「日常生活状況報告」といった書類が必要になります。その他にも画像や検査記録も自賠責保険に提出することになりますが、前記書類は必ず揃える必要があります。
後遺障害診断書、「頭部外傷後の意識障害についての所見」、「神経系統の障害に関する医学的意見」については、被害者の治療に当たった医師に作成してもらうことなります。これらの作成についても、高次脳機能障害特有の難しさがあるのですが、今回は、「日常生活状況報告」についてご説明したいと思います。
この「日常生活状況報告」は、医師ではなく、被害者の事故前、事故後の様子を知っている方が作成します。実務上は、同居されているご家族が作成することが多いです。「日常生活状況報告」は、高次脳機能障害の程度(何級に該当する障害が残っているか)を、等級認定機関である損害保険料率算出機構が判断するうえで極めて重要な資料になります。
しかし、被害者のご家族が「日常生活状況報告」を作成するのは、多くの場合初めてのため、どのように書いたらいいのかわからないということも多いようです。そのため、実際の日常生活や労務上の支障をうまく記載できていないといことが多く見受けられます。このような場合、実際の支障の程度を考えれば、5級、7級の等級に該当するのに、「日常生活状況報告」の記載が不十分なため、9級、あるいは非該当ということになってしまいかねません。実際に、当事務所で異議申し立てから受任した事案で、日常生活状況報告書をより詳細に作成し直し、等級が上がったというケースがあります。
また、ご家族や被害者本人が日常生活や労務上の支障に気づいていないというケースもあります。当事務所で担当したケースでも、最初に作成していただいた「日常生活状況報告」では、支障がほとんどないということになっていたものの、ご家族に弁護士が詳しく聴取したところ、様々な支障が出てきたということがありました。改めて日常生活状況報告を作成し直し、被害者請求したところ、高次脳機能障害で等級が認定されました。
9級に該当するかどうかという障害だと、被害者本人やご家族が支障に気づかないというケースも多いです。当事務所ではそのような場合であっても、弁護士やスタッフがご家族やご本人、場合によっては勤務先から詳細に事情を聞き取り、被害者ご本人やご家族が気付いていない支障をあぶり出します。
「日常生活状況報告」はできる限り具体的に記載することが適正な等級認定を得るうえで重要になりますが、初めて事故に遭われたご家族が作成するのは簡単ではありません。当事務所では、ご家族の打ち合わせの上、「日常生活状況報告」の作成をアドバイスさせていただいております。また、「日常生活状況報告」では足りない場合は、当事務所オリジナルの書式を使って、補充をすることも少なくありません。
高次脳機能障害は、非常に重篤な障害です。当事務所は、高次脳機能障害の被害者の方が適正な賠償を得るために、全力でサポート致します。