2021年7月8日
【ご遺族の皆様、その賠償金額で良いんですか?】生活費控除率編
交通事故が起き、被害者が死亡したとき、被害者が本来得られるはずであった収入、年金などが得られなくなったという損害を「死亡逸失利益」といいます。
この死亡逸失利益の算定にあたって、生活費控除率という概念が出てきます。
分かりやすく説明すると、生活費控除率とは、被害者の収入に対する生活費の割合を算出し、その分は賠償金から控除するという考え方です。
たとえば、被害者の収入がご高齢で年金のみを受給していた場合、年金は生活費を賄うための範囲で給付されるという性質から生活費に費やしている割合は、高く認定され50%を越えて認定されることもあります。
他にも、死亡した被害者の立場や生活状況によって生活費控除率が下がり、賠償金額が増額する可能性もあります。
生活自体がご遺族の方からの「援助」で成り立っている場合などは、収入に対する生活費の割合が下がるため生活費控除率は低下すると考えられます。
死亡の賠償金の場合は、金額が高額ですので10%という数字であっても金額に大きく影響します。
例)給与所得が600万円の50歳男性(家族3人暮らし)が交通事故で死亡した場合の死亡逸失利益について。(年金部分については、今回は考慮していません)
①生活費控除率 30%の場合
6,000,000円×(1-0.3)×(67歳までの15年間に対応するライプニッツ係数13.1661) =55,297,620円
②生活費控除率 50%の場合
6,000,000円×(1-0.5)×13.1661=39,498,300円
※生活費控除率が20%異なるだけで約1600万円の差が発生します。
例)年金90万円を受給している80歳男性(平均余命9年)の男性が交通事故で死亡した場合の死亡逸失利益について
計算式)900,000円×(1-0.5)×7.7861=3,503,745円
②生活費控除率 60%の場合
計算式)900,000円×(1-0.6)×7.7861=2,802,996円
※生活費控除率が10%異なるだけで約70万円の差が発生します。
ほぼ、年金1年分の差がでます。
交通事故の賠償金は「慰謝料」だけでなく、「逸失利益」についても大きな差がでます。
交通事故に特化した弁護士であれば、ご遺族の思いを届け、適切な賠償金を獲得するために尽力致します。