2021年7月7日
2021年7月8日
素因について
初めまして、弁護士の永渕です。
交通事故の交渉や訴訟を担当していると、加害者や保険会社が、被害者の既往症や性格等が原因となって損害が拡大しているので、その分は損害賠償額から差し引くべきだという主張をしてくることがあります。
損害の発生、拡大に寄与する被害者の肉体的、精神的要因を被害者の素因といい、上記のような主張をいわゆる素因減額の主張といいます。
この点、裁判例でも、損害の拡大に被害者の素因が関わっているとして、賠償額を限定したものがあります。
もっとも、最高裁の判例においては、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである」と判示されており、被害者の身体的特徴が通常人の個人差の範囲内にあるときは、原則として賠償額を減額できないことになっています。
加害者や保険会社が、素因減額の主張をしてきた場合、その主張が適切なものか検討して交渉する必要があります。
もし、ご自身での交渉に困難を感じた場合、ぜひ一度当事務所に御相談を。