2024年11月26日
目次
バイク事故に遭われた場合、まずはあなたに生じた損害をどのように賠償してもらえるかが気になるポイントとなります。
この記事では、バイク事故に遭った場合の慰謝料の相場と、計算基準・注意点についてご説明します。
1.バイク事故の慰謝料の相場と計算基準
さて、バイク事故の慰謝料の相場は数十万円から数千万円までの幅がありますが、概ね自動車事故よりも高額になるケースが多いです。これは、バイク事故の場合、バイクに乗車している人が事故によって道路に投げ出されるなどして、大怪我を負ったり死亡したりする可能性が高いためです。
交通事故一般の慰謝料については、①傷害慰謝料(入通院慰謝料)、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料の3種類に分類されます。
傷害慰謝料とは、交通事故によって怪我を負ったことに対する慰謝料で、入通院期間・日数から慰謝料額を算出することが一般的です。後遺障害慰謝料と死亡慰謝料は、それぞれ残存した後遺障害や死亡という結果に対する慰謝料として認められるものとなります。
各種慰謝料の概算を算出したい方は、以下のページもご覧ください。
https://kagoshima-kotsujiko.com/isharyou/calculator/2.後遺障害とは?認定を受けるためのポイント
それでは、まず、後遺障害について確認しましょう。後遺障害とは、交通事故後の治療をした結果、それ以上改善が認めない状況となったもののうち、自動車損害賠償保障法施行令に列挙された障害に認定されたものを指します。
簡単にご説明しますと、交通事故の結果残った後遺症のうち、公的機関(損害保険料率算出機構)に「後遺障害に該当する」と認められたものを、正式な後遺障害と呼びます。
後遺障害が認定されますと、それだけで、裁判基準では慰謝料が100万円以上(場合によっては数千万円)認められますから、後遺障害認定の有無は、交通事故賠償において非常に重要なポイントとなります。では、後遺障害認定を受けるには、どういった点に注意をするべきなのでしょうか?
後遺障害の有無は、主として、医師の作成した「後遺障害診断書」と、入通院時の医療記録によって判断されます。このため、まずは、後遺障害診断書にご自身の症状を的確に記載してもらうことが重要となります。
特に、レントゲンやCTなどの画像検査によって後遺症の有無が分からない頸椎捻挫・腰椎捻挫などの影響については、ご自身が感じる痛み・しびれ・違和感をしっかりと診断書に記載してもらう必要があるでしょう。また、各種関節の可動域が狭まっている場合には、その関節の可動域についての検査も必要です。
これらの後遺障害診断書に記載してもらうべき事項・検査してもらうべき事項については、ぜひ、交通事故になれた弁護士の助言を受けて確認しておくべきです。弁護士に一度ご相談いただき、ご自身のお怪我の状況に合わせた検査等を受けられるように、注意しましょう。
3.死亡事故の慰謝料の相場と請求方法
次に、死亡事故の慰謝料について確認しましょう。残念ながらバイク事故は死亡率の高い事故ですから、死亡事故が起きた場合のことも考えておく必要があります。
死亡事故が発生した場合、死亡慰謝料の相場は、一般的な裁判基準では、2000万円から2800万円程度と言われています。
この金額は、死亡した方が家庭内での一家の支柱であって死亡による影響(精神的影響、経済的影響)が大きい場合には高額な方に偏り、そうではない場合には、低額な方に偏る傾向にあります。
死亡慰謝料は、死亡したご本人自身の精神的苦痛と、その近親者の精神的苦痛を慰謝するための金銭ですので、死亡した方の家庭内の位置づけで評価が変わることとなるのです。
ご家族が死亡した場合の衝撃は計り知れません。本来的には数億円払われても補えない苦痛を受けることとなるかもしれませんが、この場合の精神的苦痛を金銭評価すると、日本の裁判所においては、上記のような金額にて評価されることとなります。
4.慰謝料に影響する3つの基準【自賠責・任意保険・弁護士】
さて、以上のとおり、3つの慰謝料のうち、高額になりうる2つの慰謝料についてご説明しました。
しかしながら上記の説明は、慰謝料について裁判基準(弁護士が介入した場合に主張する金額となりますので、弁護士基準ともいいます。)を用いた場合の説明となります。
実は、慰謝料については更に2つの基準があり、弁護士が代理人として介入しないでご本人が損害賠償請求交渉をする場合には、これらの低額な基準での和解を求められることが大半です。以下、簡単にこの2つの基準についてもご説明します。
一つ目が、自賠責基準です。いわゆる自賠責保険(強制加入保険です。)を利用して慰謝料の支払を受ける場合には、自賠責保険会社がこの基準に則って各種慰謝料を支払ってきます。
この基準によると、後遺障害慰謝料にせよ、死亡慰謝料にせよ、弁護士基準の半額以下になってしまいます。
自賠責保険から慰謝料の支払を受けた場合であっても、相手方(又は相手方保険会社)に対して、弁護士基準に満たない部分の賠償を引き続き求めることができますから、交渉をやめてしまわないようにご注意ください。
二つ目が、任意保険基準です。相手方保険会社と交渉する場合、通常はこの保険会社が相手方の任意保険の会社となります。
このとき、任意保険会社は、自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりは安い金額の基準を用いて慰謝料の提示をしてきます。やはり、弁護士が介入しない限りは、一定程度減額した基準を用いてくることとなるのです。
このように、弁護士を介入させない場合には、慰謝料額が裁判基準と比較して低額に留まることが多いです。
5.入通院慰謝料の相場と具体例
傷害慰謝料(入通院慰謝料)は、裁判基準においては、以下の表のとおり、入通院期間によって変動します。
このうち、別表1が骨折等の他覚的所見のある傷害を負った場合の入通院慰謝料を指しており、別表2が頸椎捻挫・腰椎捻挫等の他覚的所見のない傷害を負った場合の入通院慰謝料を指しています。
バイク事故にあった場合、入通院を併せて3~6か月程度要することが多いので、入通院慰謝料の相場は、数十万円から百万円程度といえます。
例えば、バイク事故によってバイク運転者が軽い打撲傷を負うとともに頸椎捻挫・腰椎捻挫等によって6か月の通院を要することとなった場合には、別表2を用いると慰謝料が89万円となります。
他方で、バイク事故によって多発骨折等の重傷を負って1か月の入院と7か月の通院を要することとなった場合には、別表1を用いると慰謝料が157万円となります。
6.後遺障害等級ごとの慰謝料の目安
後遺障害慰謝料についても、具体的な金額を見ておきましょう。
上の表のとおり、後遺障害慰謝料は、弁護士基準と自賠責基準によって大きく変わります。後遺障害の種類は多岐にわたりますが、バイク事故に多い後遺障害についてご説明しますと、以下のとおりとなります。
① 頸椎捻挫・腰椎捻挫等により、痺れ・痛みなどの神経症状が残っているものについては、神経症状が残存していることが医学的に他覚的所見を有する場合には12級、医学的な他覚的所見はなく自覚症状のみに起因する場合には14級が認められる可能性があります。
② 傷痕、瘢痕、手術痕などが残った場合には、その痕の位置・大きさによって、7級・9級・12級・14級が認められる可能性があります。
③ 鎖骨骨折をした場合には、鎖骨の変形や肩関節の可動域制限、痛み・痺れ等の神経症状など、多岐にわたって影響が残ることが多いです。このため、鎖骨骨折に起因する後遺障害としては、8級から14級までのいずれかに該当するものが認められる可能性があります。
④ 頭部外傷を負った場合には、重篤な後遺障害が残る場合があります。例えば、いわゆる植物状態など、常時介護を要する状態になった場合には、1級の後遺障害が認定される可能性があります。
このように、バイク事故によって様々な後遺障害が残存する可能性がありますから、治療後に何か身体に不安があれば、後遺障害についての診断書を作成してもらい、積極的に後遺障害等級の認定申請をするべきといえます。
7.バイク事故の慰謝料等の請求の流れ
バイク事故によって慰謝料等を請求する際の流れは、通常、以下のとおりとなります。
① 交通事故発生
② 通院等の治療が続く
(③ 後遺障害が残った場合には、医師による症状固定の判断)
(④ 後遺障害等級認定のための手続)
⑤ 治療が終わり、後遺障害の有無が認定されたのちに、示談交渉開始
⑥ 示談成立
⑦ 慰謝料等の支払
交通事故によって負った怪我の程度などに応じて入院・通院の治療期間も異なりますし、症状固定時期も異なります。このため、一概に慰謝料等の被害賠償を受けられる時期が定まることはありませんが、やはり、実際に被害弁償を受けるまでにはある程度の期間を要することとなります。
ちなみに、怪我が重い場合など、休業をしなければならない場合には、慰謝料の支払に先んじて休業損害を毎月請求することが可能です。
また、場合によっては、自賠責保険会社に対して慰謝料の一部(自賠責基準の範囲内のみ)を請求する方法も考えられます。
ぜひ、早期に弁護士にご相談いただき、一緒にベストな方針をご検討いただければと思います。
8.バイク事故の慰謝料請求のポイント
さて、以上のとおり、バイク事故の慰謝料についてご説明してきました。
バイク事故の慰謝料請求時には、まずは慰謝料が3種類あるということをご確認いただいて漏れなく請求をするとともに、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類の基準についてご理解いただき、弁護士基準による適切な被害賠償を受けることが重要となります。
慰謝料請求時には、相手方保険会社は弁護士が代理人に就かない限りは弁護士基準による慰謝料支払をしないことが多いですから、弁護士に交渉を依頼することがポイントといえるでしょう。
9.弁護士に依頼するメリットと増額の可能性
バイク事故によってお困り・お悩みの方は、ぜひ、交通事故に慣れた弁護士への早期のご相談をお勧めします。弁護士に依頼することで、保険会社や相手方本人とのストレスフルな交渉を全て弁護士に任せることができます。また、ご自身で交渉しただけではたどり着けない、弁護士基準による慰謝料支払を受けることもできるでしょう。
加えて、交通事故の早期の段階から弁護士にご依頼いただくことで、あなた自身の傷害内容を確認し、あなたに残存する可能性のある後遺障害について注意喚起を受けることができます。
後遺障害の有無によって、百万円単位で受け取れる金額が変わってきますから、後遺障害があるのにその診断を受けない・その慰謝料を請求しない、といったことのないようにご注意ください。
当事務所では、交通事故に習熟した弁護士が多数在籍しております。あなたのご相談を親身にお聞きし、あなたのために最善を尽くす弁護士に、ぜひ、早期にご相談・ご依頼ください。あなたからのご相談をお待ちしております。